法定相続分による相続遺産分割協議による相続と解説してきましたが,今回は特別受益証明という方法を解説します

特別受益証明(とくべつじゅえきしょうめい)とは

特別受益証明は,わかりやすく言えば「私には,相続する持分がありません」と証明書を作成することで,遺産分割協議者の立場から離脱することです(民法第903条第2項)

特別受益証明書に押印

なぜ,離脱するかといえば,「被相続人(亡くなった方)から生前に(法定)相続分を超えるくらい贈与してもらっているから,もう相続取り分がないよ」という考え方になります

例えば,相続人である兄弟姉妹の中で,特定の一人だけ婚姻時に嫁入り(婿入り)道具をたくさん貰っていた,なんてのが理由になったりします

法定相続人の一部の者が,特別受益の意思を表明(特別受益証明書を作成)すると,その者は特別受益者として法定相続分を受けることができなくなるため,相続放棄(民法第938条)に類似した効果を得ることができます

相続放棄との違い

①相続放棄は,その旨を家庭裁判所に申述する必要がありますが,相続の開始があったことを知った時から三ヶ月以内※に行う必要があります(民法第915条)

裁判所

※相続放棄の対象となる相続財産が複雑・多額であるとか,各地に分散している場合には,三ヶ月では調査が不十分で承認するか,放棄するかの判断が付かない場合があります この場合,利害関係人又は検察官の請求によって相続放棄を申述すべき期間を伸長(延長すること)することが可能です(民法第915条第1項但書)これを,熟慮期間の延長といいます

三ヶ月を経過すると,相続放棄したくても出来なくなるということです

対して,特別受益証明の意思表示する場合,期限の制限はありません

理論上,遺産分割協議を行う前までに意思表示すれば成立することになります

②相続放棄は,積極財産(プラス財産),消極財産(マイナス財産)全てを放棄するが,特別受益証明は消極財産(マイナス財産)は相続する義務が残る

これが,一番大きな違いですね

借金,負債

そのため,家庭裁判所へ相続放棄の手続きを採る実際のパターンというのは,被相続人(亡くなった方)のマイナス財産(負債)が,プラス財産を上回り相続人として相続を受けるメリットがない場合に行われます

対して,特別受益証明の意思表示を行う場合というのは,相続人として引き継ぐことになるマイナス財産は殆どなく,単にプラス相続財産の取り分けから身を引く場合に活用されるというイメージです

 

 

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