前回は,法定相続分による相続の方法を解説しました
今回は,一番ポピュラーな相続方法である,遺産分割協議による相続の方法を解説します
遺産分割協議とは
法定相続分にこだわらずに,各自の相続分を「話し合い」で調整・決定することです(民法第906条)
この遺産分割協議ですが,被相続人(亡くなった人)の死亡時から「何年以内に実施」などの縛りはありません
そのため,相続人が一同に会しやすい法事や,盆,正月などに少しづつ相続人間の思惑を条件調整しながら継続協議しているパターンも多いのではないでしょうか
遺産分割協議がめでたく成立すると,その決定事項は被相続人の死亡時に遡って効果が生じます(民法第909条)
遺産分割協議が成立した際には,決定事項を速やかに「遺産分割協議書」として作成することをお勧めします
遺産分割協議書とは
遺産分割協議書は,法律で作成を義務付けられている書類ではないのですが,相続財産が不動産の場合であれば,法務局で記録されている被相続人名義を相続人名義に変更(相続登記といいます)する場合,登記申請書の添付書類のひとつである「登記原因証明情報」として使用することができますし,遺産分割協議の内容を書面で証拠として残すことで,後で「言った」,「言わない」の無用な紛争が発生することも防げます
そのため,遺産分割協議書の作成のポイントは,相続人間の決定事項を明瞭に,かつ分かり易く文書として書き記す能力(起案力),法律知識を持った専門家(行政書士事務所,司法書士)に依頼することです
また,遺産分割協議が難航し,相続人間だけでは話し合いがまとまらない場合は,家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをすることも可能です
遺産分割調停とは
具体的な手続き方法は,家事事件手続法(平成23年5月25日法律第52号,以下「手続法」という)第244条以降で定められていますが,特徴として
①申立て費用が安価=収入印紙1,200円,予納郵便切手代(各裁判所の定めるところによる)
②公平・中立な立場である調停委員会(裁判官1人,家事調停委員2人以上)が,仲裁・助言を行うので,冷静に話し合いの場が保てる結果,合意に至りやすい(手続法第248条)
③調停成立事項が調停調書に記載されると,調停成立事項は確定判決と同一の効力を有することになる(手続法第268条第1項)
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